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受験が厳しいのは明治150年来!?

受験対策に追われているお子さんも多いことでしょう。まずは合格を目指してがんばってほしいところですが、入試が終わったあとに奇麗さっぱり忘れてしまうような勉強では何にもなりません。そんなふうに「受験」を冷静に見つめるきっかけを与えてくれる講演が、昨年12月にありました。

遅れて近代化した特徴が今も

昨年は、明治改元(1868年)から満150年という節目の年でした。そうした年の終わりに文部科学省が開催したのが、明治150年を記念した教育シンポジウムです。初等中等教育(幼稚園から高校まで)と高等教育(大学など)の2部構成で、そのうち初中教育の部では、中央教育審議会の副会長で初等中等教育分科会長も務める小川正人・放送大学教授(東京大学名誉教授)が基調講演を行いました。

小川教授は、昨年11月に亡くなった英国の社会学者ロナルド・ドーアの著書を引きながら、明治以降の日本を含め西洋より遅れて近代化を開始した国々では、学校が学歴による選抜機能を強める「後発効果」があることを紹介しました。
近代化の開始が遅ければ遅いほど、その国では(1)学歴が求職者の選抜に利用される範囲が広くなる(2)学歴インフレの進行が早くなる(3)学校教育が受験中心に傾き、学校段階間や段階内の差別・格差が広がる……というのです。先進国の仲間入りをして久しいはずの日本で、今も「学校教育が受験中心に傾」いていることは否定できないでしょう。

戦後も続いた「追いつき型」近代化の中で、1970年代には学習内容が最も増大・高度化しましたが、80年代には弊害も指摘されるようになり、その時期の教育改革論議が2000年代の「ゆとり」指導要領に道を開いた……と小川教授は振り返りました。後に「ゆとり教育」だと批判されることになりますが、そこには、学校の学びがあまりにも形骸化・形式化したという反省があったことも確かです。

教科の学びを社会で活躍できる力に

小川教授は、2000年代に「生きる力」「考える力」が提唱されたのは、あまりにも形骸化・形式化した学校での学びの改革を目指すものであり、それが教科の基礎・基本を習得する学習と対立したり矛盾したりするものではなかったことを強調しました。

企業の側でも1990年代以降、社会経済や労働環境の変化を背景に、社内にとどまらない「汎用的能力」を社員が自分で身に付けるように転換すべきだ……という主張が強まりました。学校教育でも、「何ができるようになるか」を重視したコンピテンシー(資質・能力)育成が課題になっています。

小川教授は、具体的な専門性や社会とも関連付けた「主体的・対話的で深い学び」を通してこそ、汎用的能力が身に付くと指摘しました。教科を中心とした受験勉強も本来、決して無駄ではないはずです。しかし、いつまでも教科の学びをペーパーテストで点を取ることにとどめていては、結果的に学びが無駄にもなりかねません。

2020年度に向けた「高大接続改革」も、大学入試のみならず高校教育、大学教育の「三位一体改革」が主眼です。究極の狙いは、先行き不透明な今後の社会で活躍できる人材の育成です。受験勉強もそのための学びの一過程にすぎないことを、どこかで忘れないようにしたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※明治150年記念「教育に関するシンポジウム」
http://www.mext.go.jp/a_menu/meiji150kyouiku/index.htm

※高大接続改革(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/index.htm

[Benesse教育情報サイト:教育ニュース 2019年2月01日 (金) 0時00分]

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