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進むか教育現場のクラウド化

インターネットのネットワークを経由してサービスを利用する「クラウド・コンピューティング」はSNSやメールなど私たちの生活に浸透していますが、教育現場での活用は遅れています。子どもたちの学びを豊かにし、校務を効率化する利点はわかっていても、手続きの煩雑さやコスト面など、さまざまな疎外要因があります。
導入に当たって現場や教育委員会の不安を取り除くだけでなく、国を挙げての支援も必要です。

コスト高や説明の手間で進まない

「クラウド」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、スマートフォン(スマホ)やパソコン(PC)を持っていれば、多くの人が既にクラウドを利用していることになります。
たとえばLINEやInstagramなどのSNS、Gmailやヤフーメールなども、クラウドの一つです。特定のコンピューターにデータを保管する必要はなく、ログイン情報を入力すれば、どの端末からも同じデータにアクセスできるのが便利なところです。

学校でクラウドを活用する場合、学習履歴や資料を校内・校外でも家庭でも見ることができるため、連続的に学習ができたり、離れた場所から遠隔教育が受けられたりするなど、多様な学び方が広がる可能性があります。さらにサーバー運用が楽になり、自治体のコスト削減やテレワークによる教員の業務軽減も期待されます。

ところが、学校ではクラウド活用は進んでいないのが現状です。クラウドを使える環境が未整備なためです。総務省がこのほど公表した有識者会合報告書では、文部科学省の2017年度の調査結果を紹介し、▽教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は5.6人▽普通教室の無線LAN整備率は34.5%▽100Mbps以上の超高速インターネット接続率は63.2%……と、クラウド導入の前提条件であるICT環境に課題があると指摘しています。
PCやタブレットはある程度は揃っているが、いつでも・どこでも学習を進めるのに十分な通信速度や安定性はない、という中途半端な状態となっているのです。

クラウドが学校で広がっていない理由について、報告書は、▽関係部局に導入を説明する手続きが負担▽小規模自治体ではコスト負担が大きい▽教委が導入に自信を持てない▽必要以上のセキュリティー対策が求められ、コスト高になっている……などを指摘します。

文科省のガイドライン見直しを要求

報告書は課題解決に向けて国が行うべきことも提言しており、中でも文科省には「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の見直しと、新たなガイドラインの策定を強く求めています。現行のガイドラインでは、子どもの学習記録などの学習系の情報と、出席簿や成績表などの校務系の情報までの定義や分類があいまいなため、必要以上にセキュリティ対策が求められている傾向があるからです。併せて、自治体がシステムを導入する際にクラウドを前提として検討を始めることを明確に示し、導入の参考事例を教育委員会に示すことなども挙げました。

先ごろ公表された今年版の「情報通信白書」は、デジタル経済社会においてあらゆる産業の伝統的なプレーヤーはICTを補助ツールとして用いるのではなく、産業と一体化してビジネスモデル自体を変革する「デジタル・トランスフォーメーション」を目指すべきだとしています。学校のデジタル・トランスフォーメーションを進めるには、自治体による行政の業務改革戦略が求められています。

(筆者:長尾康子)

※総務省「教育現場におけるクラウド活用の推進に関する有識者会合」報告書の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000129.html

※2019年「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000143.html

[Benesse教育情報サイト:教育ニュース 2019年8月13日 (火) 0時00分]

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